三月うっちゃって
四月の風
ご無沙汰しております
大坪です
世間じゃヤンボウ マンボウ コロナ予防って騒いでるけど
この先の見えないコロナ世界を切り開く
ヤンマーディーゼル並みのココロ動かす力は
発見なんじゃないかしらって
このコロナ禍での発見もあったけど
既存のものでも
よく知られたものでも
自分で気付いたなら新発見、コロンブス
ある日あんまり生地を練らないで、ゆっくり寝かせてみたら
自然と粉と水が繋がって滑らかなグルテンになった
それを人はオートリーズ法と呼ぶらしいが
本読むまで知らなかった
小学生の時、スーパーマーケットで何でも手にはいると思ってた
万引きという犯罪だと
警備員のオジサンに言われた
ケッパーはイタリア語でカッペリ
イタリアのアリメンターレ(食料品店)でカペッリ、カペッリ
と叫んでも笑われるだけで
翌日、語学学校の先生にカペッリは髪の毛の意味だとアクセントを直された
ちなみにどうしてもモルタデッラと言えなかった私
モッタルデラ、モッタルデラとパンを握りしめてサルメリアに並んだ
オーナーは笑いをこらえながらパニーノを作ってくれたっけ
法律はすでにある
ルールもすでにある
答えだって、正解だって、もしかしたらこの世の真理だって
本に書いてあったりする
パンダはパンダと皆知った気でいる
パパやママにあれはパンダだと教えられたから
白と黒の笹の葉食べてるマヌケな熊とは誰も言わない
可愛いのだ、そう教えられたから
1994年ナポリVia dei tribunali
そうスパッカナポリで行列って言えばその頃はPizzeria Di Matteo
語学学校の教室の皆でピッツァってことになり初来店
ミケーレのマルゲリータしか食べたことのない在ナポリ2ヵ月目の私
当然の助動詞、オーダーはマルゲリータっしょ
ふと周りを見渡すと
何やら緑色の草が載った白いピッツァを食べている
目の前にカメリエーレ
オイラの視線の先に気付き一言「Buona ,Prova! 美味いぜ、試してみな」
まだ押しきられることが多かった東洋人のシャイな若者
テーブルに運ばれてきたそのピッツァには
緑色の草の上にパルミジャーノの薄切りがトッピングされてるだけ
白いピッツァって初めてって思いながら
覚えたてのナイフとフォークでエレガントにピッツァをBuon appetito!
うおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
兄ちゃん美味いぜ❗カメリエーレがウインク
トマトソースがないぶん生地とモッツァレラの味がしっかりしてるぜ
このミルキーさと草の苦味、パルミジャーノの塩味と旨味が最高だぜ
永遠に食える組み合わせだ、感動したぜ
ぜ、ぜ、ぜ!
心の声の詳細は何分昔のことなので、想像ですが
本当に味は強烈におぼえてて。サルシッチャとフィアリエッリのピッツァに出会うまではビアンカ(白いピッツァ)と言えばこればっか頼んでたし、今でもこれが究極ベストだと思ってる
ナポリ人にとっては当たり前の在る“essereだったけど
ぼくにとっては発見だったの、大発見
自分で味わって、経験して、見て感じたなら冒険野郎マグワイヤ
知ったかぶりでそんなの当たり前じゃんって言うやつに
こう言ったら言い
「俺が知らないものを、自分のやり方と方法で手にいれたんだって」
誇りを持って
地球上の既存のもの、当たり前のことだって、
宇宙人からしたら、すべてが発見!
ディスカバリー号に乗って、自分だけの驚きに満ちた発見の旅を。船の名前はあんたの名前で良い
コロナ禍で日常ばかり見てたらは辛いことばかりかもしんない
だから僕はいつもファンタジーを作って、そこに生きてる。夢見てるんじゃないし、現実から逃げてるわけでもない
むしろ
この現実の世界にファンタジーを作り上げるってこと
ファンタジーは誰かと共有するものじゃなくて、自分だけのものだから、人には見えないかもしれないけど
それを持ってるか、もっていないかはこれからの時代を生きるうえでとっても大切なことだって思うの
日常を生きていく為の装置としてファンタジーあるわけで、それがないと、辛いは辛いでしかない。
誰かに理解されたいとかじゃなくて、徹底的に好きな世界を作り上げて、そこに生きてみること
嫌な現実から目をそらして、非現実に逃げるから、なんちゃらロスってなるんでしょ?
自分だけの物語や寓話を作り上げて、大好きな世界を通して社会にコミットしていくなら世の中はあなたの物語のつ続きになる
コロナだろうが、嵐だろうが、僕らはちゃんと立ってられる
モンテサントの駅からクマーナ線に乗ったら
二つ目のPiaveって駅で降りる
落書きだらけの駅、Tabacchi を抜けて右に曲がれば
Via Giustiniano(ジュースティニアーノ通り)
肉屋に魚屋、八百屋にバール、商店街の奥にピッツェリアがある
Pizze e Pizzeジェンナーロのお店、今はもうない
朝8時煙草ふかして待っているとジェンナーロとアンジェラが買い物袋抱えてやって来る、Ciao Yoshi
生地20リットル、フリッタティーナにアランチーニとコロッケを10kgずつ
この店の朝の仕込み、イタリアでは日常が圧倒的すぎて、ファンタジーなんか無かった。10時も過ぎた頃には、真っ赤にはらした目でくわえタバコの長男のジーノがやって来る
Ciao Mappina!
ジェンナーロと僕は黙々とフリッタティーナを成形している
仕込みも佳境になってくると、お約束の面々がやって来る
ペッぺ、マッシモ、ジーノの友達。毎日、そう毎日(笑)
同じ時間に、計ったように同じ面々がやって来るんだ
その正確性は非正確性をアイデンティティーとするナポリにおいて、驚きでしか無かった
まあ狭い厨房に、スタッフ以外の知り合いが5人ぐらいる
昨日何食ったやら、どうやって税金を払わずにすむかなど話しながら
煙草の煙で白っぽい厨房
ジェンナーロと僕は黙々とアランチーニを成形している
男共が去って11時頃になると
女共がやって来る(笑)
ジェンナーロの奥さんのカルメッラ、ジーノの奥さんと息子、店は一気に騒がしくなって、孫のジェンナリーノが店を駆け回る、怒号、泣き声、叫び声
孫の登場でジェンナーロも満面の笑みでついに作業場を離れる
僕は一人黙々と20リットルの生地を成形している
毎日生きていた
圧倒的に生きていたからファンタジーなんか無かったけど
帰ってきて、タンブレッロやってからだと思う
あの景色や匂いや愛すべき馬鹿野郎共とのやりとりの全てが僕だけの物語になった
見せるものでも、誇るものでもないけど
僕が人生の中で見つけたオイラだけのもの
この世界を生きる為のファンタジア
Fantasia(物語)をベースにRomantico(ロマンティック)に生きてんのんが
イタリア人かもね
Gigi Finizio
ロマンティコ、泣けるナポリ
Yoshihisa OTSUBO