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Obrigado

2021.01.19

2021年がどんな年になるかなんて

自分がどうなるかなんて

お店がどこへ行くのかなんて

オリンピック開催するかなんて

ワカラナイ

逆らわない

風の時代だから

無理はしてないけど

電気を消して、マスクを外して

空を見たら月は今夜も綺麗

 

 

改めて思いました

外食とは外で食べると書くのだから

外食にはその時々の景色があります

僕たちプロは料理も含めて描いてる景色がある

その中にはあなたがいて私がいて、いつか来る彼や彼女もいる

何のために生きてんのか

何のためにやってんのか

そんな景色も描けないなら

やめちまえば良い

 

 

20代、ポルトガルのリスボン

ヨーロッパの西の果て、冬枯れの街は郷愁で溢れてて、焼栗の屋台の煙が物悲しかったのを覚えてます

港町、坂を登ったり下りたり、たどり着いたら怪しい界隈

ピンク、紫、赤、カラフルなネオンに照らされた

LADRI , PUTTANE,POCODIBUONO達

この世とあの世の境目に仕切られた、簾越しに値踏みする視線を感じながら歩いた

そこだけ白色灯がやけに明るい店があって

カウンターにはお客がびっしり、黙々と食べる背中

控えめなラテン男、リスボンの親父達

空腹を抱えてた

その頃の僕のワクワクセンサーはかなりの高確率で

何が食えるかなんて知らないが美味いものが食える匂い~迷わず入店

何も言わなかったし

何も言えなかった

一言も語らずただ出されたものを食べた

皆同じものを食べている

BGMはナイフとフォークがお皿に触れあう音だけで、そこにはお客とお店の心地よいリスペクトがあって。

僕は無愛想に支払いを済ませて、覚えたてのポルトガル語で感謝を伝えたの

Obrigado!

感動しながら

”Bacalhau a’ Bra’s””

干鱈(バカリャウ)とジャガイモ炒め

その料理の景色です

 

料理作りって絵を描くのと一緒

今、お客様のいないお店は

皆さんが想うタンブレッロの景色とは違うかもしれないけど

僕は今をしっかり描いていかなきゃって思う

握りしめた拳や

悔しさは穴でも掘って埋めときゃ良い

何よりも

ありがとうを忘れないこと

 

 

 

東京中の電気を消して夜空を見上げてえな

かわいがってるぶざまな魂さらしてみてえんだ

俺はまた出かけよう 街は動き出した

明日もまた出かけよう 俺はうまくやるさ

 「友達がいるのさ」エレファントカシマシ

 

人様じゃ作れない圧倒的な景色を見るとき

涙が流れたあなたは、綺麗な心の持ち主

作ろうぜ俺たちの景色

人と人を繋ぐのはありがとうの言葉

最近言ってますか?ありがとうって

このくそったれの世界にObrigado

 

大坪善久