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Variazioni 変奏
2021.05.17
変奏曲
長短さまざまな主題(テーマ)または旋律を、
カタチを変えながら繰り返す形式
毎日、同じテーマや主題が様々に変奏されてる
昨日と今日と明日は秩序を保って配列されていて
毎日リズムが違う
毎日拍子が違う
代わり映えのしない毎日だと思うなら
耳を澄ませて
毎日奏でられるあなただけの主題歌に
人一人の命を救うのに懸命に働いてる人がいる
でもガザじゃ今日も爆弾一発で60もの命が、
一瞬で飛ばされてしまう
この世界で止めなきゃいけないのは
ウイルスなのか
憎しみなのか
軽やかに変奏しながら拡張、拡散していくウイルス
ならば僕もvariazioniを奏でよう
忙しい夜だった、La spaghettata、ナポリ
そろそろ街の賑わいも落ち着きだした午前零時のヴォメロ地区、Luca Giordanoからvia gino doria
ジュゼッペと外で一服、アントニオの淹れてくれたエスプレッソを回しのみ
店の前じゃ子供達、三人乗りでスクーター、
煙とオイルの匂い、
オレンジの街灯
眠らない街、だって今夜は土曜日の夜
「マルゲリータを三枚」持ち帰りの常連のお客さんに
”Finitu “「今日は終わったよ」ってジュゼッペが答える
そう、生地は終わったはず、
今日は終わりなんだよシニョーレ
“5 minuti!”「5分」いきなり作業台からアドルフォの声
生地無かったんじゃね
ジュゼッペは窯の火を確認しにいった
生地無かったよね?
偉大な師匠アドルフォが取り出したるは明日の生地、
そうね発酵はさっきまでの生地が妖艶な熟女だとしたら、
女子中学生ぐらい
まさに食べたら犯罪!
そしたらねたった一枚残ってた今夜の熟女生地を三等分にして
バラバラになったその生地を
女子中学生生地に付けて叩いて美容成形
「見ろよヨシ、これで良い女になっただろ」
マジかよアドルフォ
足し算的には犯罪じゃないけど(笑)
クオリティを下げてまで出さなくてもって思った
懐疑的な僕を嘲笑うように、伸ばし、トマトソースを塗り、チーズをのせる
若い、若すぎる、発酵が足りてない、無理だ
そう思った
果たして焼き上がったピッツァは
コルニッチョーネの膨らみや軽さは足りないけど
エイジングのきいた革ジャンの下に若々しい肌というか
美味しそうだったの〰️
今じゃ理解できてるけど、正直びっくらこいた
糖分量の問題なんだけど、
発酵した糖分量の少ない生地は焼成時に色つきが遅いの、
糖分パンパンの若い発酵の足りていない生地をその生地で覆ってやることで、表面を焦がさずにしっかり火入れが出来るんだ
少女を大人の女にする師匠のテクニック
う~んイタリア男ね
変奏なのか変装なのかわからないけど
旋律に装飾をつけて変形すると考えれば
やはり変奏
ベースとなるメロディーがあるなら
明るかったり暗かったり
コロコロと表情を変えながら
飽きることなく聴いていられるでしょ
アレンジと工夫で既存の世界ももっと楽しくなれる
家に帰ってトムとジェリーでも見ようぜ
Yoshihisa OTSUBO