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Fai sempre quello che ti dice il cuore

2022.02.13

不肖大坪、先日50歳になりました

「人間五十年下天の内をくらぶれば、無幻のごとくなり」

桶狭間に向かう信長の舞の如く

悠久の時に身を委ねれば人間の人生なんて夢幻

 

もう怖いものなどありません(笑)

街には

微かに見えてきた灯りに暖をとる人々、

明けない夜が無いことに

改めて感謝しながら

毎日精一杯生きてやる

50歳の決意表明

 

日本橋の小伝馬町にある小さなピザ屋

冬の夜の暗がりの中で今夜もポツンと営業してます

商業施設も何もないこの場所に人が集まってくる

若いカップル、家族連れ、老若男女に異国の方々

お客様がタンブレッロに至る物語は様々で

その物語の一つ一つが僕は愛しい

あなたもブラッド·ピットも女王陛下も皆

ピッツァの前では平等

 

タンブレッロでピッツァを作るって

僕の感動を伝えることだと思ってます

僕はイタリアに感動して、この仕事を生業としてる

だからお客様に提供するものは

イタリアの匂いや、空気、音までも

一緒に伝えたいなって思う

 

地産地消、地方料理の集合がイタリア料理ならば

国産の食材で表現することは決して間違いじゃない

でも僕は九州や北海道の小麦粉は使いません

椎茸や筍も国産のフレッシュモッツァレラチーズも

使わない

全部使ったことがあるから言ってます

美味しいのも、知ってる

でもね僕がピッツァを作るときの現在地は

いつもイタリア

 

僕より美味しいピッツァを作る職人さんは沢山います

でも自分にしか表現できないピッツァはある

それで良いって思うんだ

拘りや蘊蓄は鼻かんで捨てちまえば良い

難しそうにピッツァは焼きたくない

そんな職人ナポリにいなかったもん

なんか美味しいの焼いてくれる

イタリア好きなオジサン

それぐらいが調度良いかなって

力も抜けて少し柔軟になった僕は

最近良く笑う

 

 

世界的なコンテナ不足、輸送コストの値上げで、イタリア産の食材は高騰中!

ピエモンテの豚コレラの影響で今後何年もイタリアからのプロシュットやサラメは使えなくなるかもしれない

今後、日本でナポリピッツァを表現しいていくには国産の食材やアメリカ、ハンガリー産の生ハムを使わなきゃいけなくなるかも..

 

でもさ

 

今までもさ

 

これからもなんだけどさ

 

ぼくの仕事は加工業だと思ってる

イタリアの各地からタンブレッロに至る食材の道があって

全ての道はローマに通ずじゃないけど

タンブレッロに来る全ての食材にはそれぞれの物語りがある

イタリアからの食材には、

生産者の、

加工する人の、

それを運ぶ人の、

そしてその土地の匂い、空気、おしゃべり、潮の香り、太陽の熱、体臭っだったり、その日食べたかもしれない昼食のパニーノの残像とか、雑踏を行くスクーターの騒音だって聞こえることがある

僕はそういうイタリアの景色を

自分の経験と知識と愛情で

加工して表現してる

スパイスはいつも感動

 

イタリアが好きで

ナポリが好きで

ピッツァ職人になった

伝えたいものは、料理を包む包装紙の文化だったり(笑)

職人の手仕事の後ろにあるロザリオとマラドーナだったり

路地裏で残り物のピッツァを食べるナポレターノな野良犬の滑稽さだったり

素朴な料理をベースにしたナポリとナポリ人の大袈裟な人生だったり

ピッツェリアの煤けた黄色い壁紙の色だったりする

 

だから食材にはイタリアを感じていたいし

イタリアに無いものは作らない

フュージョンやクレアティーヴァ

それは他の人がやれば良い

Dal’ Italia via tamburello

イタリアから

タンブレッロで乗り換えて

お客様まで道は真っ直ぐ続いてる

 

 

ナポリ日本橋オールナイトロング

イタリア、ナポリ行き片道切符

マリナーラ1200円

 

 

 

情熱を持って

ロマンティックは止めずに

これからも伝えて参ります

 

“Faccio sempre quello che mi dice cuore”

僕の心の言うままに

“Fai sempre quello che ti dice cuore”

あなたの心の言うままに

 

大坪善久