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6ROCK周年 

2016.08.05

僕の話を少し

僕が初めてナポリに行ったのは1994年の夏
当時のESQUIREの特集「ナポリを見て死ね」に感化されて
旅の最終目的地をナポリに設定しました

ここ入ったら駄目だよねって路地がいっぱい
暗がりから目つきの悪いおっちゃんが
ベランダから赤毛のおばちゃんが
肉屋の入り口から白衣のデブが

皆、こっち見てる・・
容赦ない視線
他者を排除する、太陽の光も届かない暗がりで
僕はこの町に感動してました

「ロックだな~」と

雑誌の写真を見て、食べたいぞ、食べたいぞ、この野郎って思ってた
念願のピッツェリア・ダ・ミケーレへ
嘘みたいな値段でドーンとマルゲリータ
それから3日通いました

伸ばし手がしっかり土台ベースを作ってく
トッピングする職人がギターをカッティングするようにリズムを刻んでのせていく
焼き手が人生を火の力で歌う
3ピースのロックンロールが奏でられてました

ホールの兄ちゃんに美味いよ、最高だと伝えました
謎の東洋人は完全に無視されましたが
その時からかもしれません
この仕事を生業にできたら幸せだなーって思ったの

1998年
ピッツァを学びにナポリへ
紹介でVOMEROのRISTORANTE PIZZERIA LA SPAGHETTATAで働かせてもらうことに
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フォルチェッラの喧騒を抜けたドゥオーモの裏
僕の部屋のベランダから
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僕の記憶の中にある風景はだいたいこのあたり
サンタルチアの海や太陽じゃない
圧倒的な生活の匂いと喧騒、排気ガスと怒号
光と闇
生と死

だから

当店で6年間鳴りつ続けているピーノダニエレ
その”Napule e'”という曲に圧倒的郷愁を覚えるのです

Napule e mille culure
Napule e mille paure
Napule e a voce de’criature
che saglie chianu e
tu sai ca nun si sulo

ナポリは千の色
ナポリは千の恐れ
ナポリは子供らの声
少しずつ大きくなるその声に
ひとりじゃないとわかるだろう

タンブレッロでは一人ではありません
日本橋を抜けた暗がりに看板を見つけたら
どうぞでかいファサードを開けてみてください
僕らの奏でる音楽は
気に入ってもらえるかな

これからも
宜しくお願い致します

おおつぼ