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八周年だよ
2018.08.01
皆さま、おかげさまで8月4日でタンブレッロ8周年を迎えます
いつもありがとうございます
八と書けば末広がりですから
幸運な年となりますように
沢山、感動出来たら良いな
せっかくの周年のブログですから
大切なお店の話を
ナポリでどのピッツェリアに行ったら良いかと質問されます
当然、師匠の店を紹介したいのですが、2人の師匠の店は2店とも閉店してしまいました、残念ですがこれもまた人生
じゃあオオツボさんにとって最高のピッツァはどこで食べれますか?と聞かれます
自信と確信をもってこう答えます
1999年のPIZZERIA CAPASSO via porta san Gennaro
先ずはタイムマシンが必要となりますが…
ドゥオーモ通りとフォリア通りの交差点をカブール広場に向けて歩いたら左手にサン・ジェンナーロ門が見えたら左折
ナポリで一番古い門なんです
店を覗いてこのおじちゃんが窯の前にいたら大丈夫
Il Re di Forno! Don Amando 60年この店でフォルナイオ(ピッツァの焼き手)として働いた伝説
トゥーリス家の薪窯(僕の2件の修業先もトゥーリス窯、非常に高温に対しての耐性が強くて、当時のナポリは皆トゥーリスだった。フェッラーラ?アックント?及びじゃない)で高温で焼かれる彼のピッツァはフワりと軽くしっかりと焼かれていて、マルゲリータを食べればトマトソース・モッツァレラチーズ、バジリコの官能的な三位一体に、これが焼成なんだと衝撃を覚えました
住んでたのがフォルチェッラ、ご近所だったから良く通いましたが
当時の経験も知識のない僕には感動するだけで、どうなってんのかなんて分からなかった、やややアドルフォとは違うぞ、れれれなんで、わわわどうして
みたいな。僕の財産はその景色と手順を風景と匂いで体内及び脳内記憶に持って帰ってきたこと、言い換えれば彼のピッツァを経験してること
これは圧倒的な差だと思う!
知ってるからこそレスペクトが生れるし、目指すべきところが遠くにあることを知るのです、有るによって無いを知る
簡単に言うと
職人の毎日の繊細な仕事の継続の中にだけ新しいものが生れる可能性が有るのは知ってるけどそれが今は無いを知ることで、また明日も職人は一生懸命、丁寧に生きるのだ! 簡単じゃないね(笑)
今、20年経って少しだけ僕の考えを話すことが出来ます
パンや小麦粉に詳しい方なら、ご指摘もあるかも知れませんが、僕は職人ですから感じた事と経験から言葉にしてます、一つの考えとして読んで欲しい
当時の彼が作る生地は今alta idratazione(直訳すると高加水と言うのかな)と呼ばれていて若い職人にも生地の旨味や風味を増す技法としてトレンドになっていますが扱いには非常に高い技術が必要です
加水が高い生地は水分含有率が多いので発酵でしっかり水和させてあげながら自由水の割合を減らし、高温の薪窯で一気に焼成して水分をぶっ飛ばす
こうすることで生地にはしっとりと水分を感じながら、外側は風味のあるクラフトを形成し余計な水分はしっかり抜けた軽いピッツァが焼きあがります
が、水分の多い生地をしっかり水和させるには、低イーストでの長時間発酵が必要となりますから、冷蔵庫の無い時代でも彼らのピッツァ生地は長持ちできたんだと思います
ピッツァってね短時間で発酵させた生地でもガンガン練って、バンバン酵母入れたら高温の出ない窯でもピッツァは簡単に上るし、焼けるんです
唯、次の日には使えないし、お腹はイーストで重くなる
冷蔵庫の無い時代に長時間営業で使用するには低イーストでなければいけないけど、しっかり練ったら発酵しやせん。繊細にグルテンを繋いでいきます、
自然粉量も少なくなっていくので高加水となる
こうやって時代の背景ってのがあるんでしょ、昔の職人は皆高加水でアドルフォの練った生地とか本当に扱いにくかった
その代わり薪窯の温度は皆高かった、オレンジ色に発光した窯の中はとっても
幻想的であの色を再現したいと思いますがなかなか出来ません
タンブレッロもまだ8年
道のり遠く険しいが行くべきところがあり
まだ到達できないという自覚がある以上
まだまだ成長出来る思ってます
これからも宜しくお願い致します
ちなみに今のCAPASSOはヴィンチェンッツォって若者がピッツァ焼いてます
カパッソ家の正当な血を受け継いだサラブレッド、伝統と歴史をリスペクト
しながら、素晴らしいピッツァを焼いてます。
この店には45年働いてるカメリエーレもいますから、安心
いついっても同じスタッフと景色があるのは素敵ですすよね
ただね、あの味はもう僕の記憶の中にしかないの
Yoshihisa OTSUBO